103: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/10/19(金) 20:52:46.92 ID:U0E6GTtU0
「見えますとも、見えますとも。いまの勇者様は、まるで地獄の赤鬼のような赤ら顔ですぜ」
「それを言うなら、遊び人さんは。地獄のサルの尻のように顔が赤い」
「女性の顔を、エテ公の尻に例えるたあ、勇者様のデリカシーのなさに磨きがかかってきましたなあ。というか、地獄のサルって何よ……」
「いや、なんとなくだから深堀しないで」
「……もっと可愛いものに例えなさいよ」
サルの尻より可愛いものときたか。いや待て、考えるまでもなくそんなものは世に数多あるわ。
ありすぎて逆に、回答に困るやつだわ。
「はよしろ。あほう勇者」
焦らすなよ。
そうだなあ。かわいいもの、かわいいものねえ。うん、そうだ。
例えば、今俺の目の前で頬を染めて酒を飲んでいる黄金色の髪をもった女の子とか。
あ、これはだめだ。これじゃあ、可愛いものの例えじゃなくて可愛いそのものではないか。
「 ちどりあしてれぽーとおおおおおおおお!! 」
狭く薄暗く、街の酔いどれ達で溢れかえっていた秘密酒場中に、彼女のその澄んだ声が響き渡った。
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