右京「誰も知らない?」
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62:名無しNIPPER[saga]
2018/05/06(日) 17:45:48.45 ID:xg10qRH10


「ですがそんな男性は現れなかった。いつしかあなたの心は限界に来ていた。」


「そんな矢先、あなたはあのヤクザと付き合いだした。」


「今度こそ幸せになれる。そう思ったのでしょう。」


「ですが問題があった。それは子供たちの存在。
もしも知られたら以前の男たちと同様にまた拒まれると危惧した。」


「だからあのアパートに子供たちを残していなくなった。
こうすればあなただけは助かる。あなただけは幸せを掴むことが出来る。」


「あなたは自らの幸せを得るために子供たちを捨てた。すべてはそういうことですね。」


右京の推理に母親は未だ何も言わず沈黙を通した。

そして隣室でこの光景を覗いている子供たちも愕然とした。

母親は自分たちを犠牲にして幸せを得ようとしていたことを…

母親がいなくなった日、兄弟たちは不安と恐怖に駆られた。

自分たち以外頼るものは誰もいない飢えと貧しさでどうしようもない日々。

それでもいつかお母さんが帰ってきてまた家族みんなで暮らせると信じていた。

けれどもうそんな日は二度と訪れはしない。

だがけい子が子供たちの元に戻らなかった理由はもうひとつあった。




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