48: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/16(水) 19:25:16.11 ID:sFL9uHdg0
プロデューサーさんは、相変わらず負傷が絶えない。
他のアイドルや社員の人たちともお話をするようになって、ちょっとした噂話を耳にした。
それによると、私の担当プロデューサーさんは中堅と呼べるくらいにはキャリアがあって、本当なら新人ひとりにかかりきりになっているような立場ではないそうだ。
ならばなぜ、私の専属になっているのかというと、
『本人の希望』
ということらしい。
これ以上のことは周りにはわからない。直接訊ねてみようかとも思ったけど、答えを聞いてしまうのが怖いという気持ちもあって、結局口に出せずじまいだった。
そんなある日、
「白菊」
事務所にやってきた私に向けて、プロデューサーさんが手招きをする。
「今、ちょっと代役を探してる案件があって――」
「やります」
私は即答した。
アイドルも人間である以上、なんらかの事情によって決まっていたお仕事に急に出れなくなることはある。代役は紹介と同様、即起用が決定する。貴重な機会だ。
「せめて内容聞いてから返事しないか? じゃあ社内オーディションにエントリーしておくから」
社内オーディション? 聴き慣れない言葉だ。
「なんですか? それ」
「今回は希望者が多そうだから、346プロ内だけでオーディションみたいな形式で選考するんだって」
「誰の……どんなお仕事です?」
「最初にそれを訊こうな。桜舞姫のライブ、塩見さんの代役だ」
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