4: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/04(金) 23:11:04.22 ID:GasL4mJG0
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幼いころから、人並外れて運が悪かった。
歩けば転び、走れば更に転び、階段があればいつも転げ落ちた。足場はよく崩れたし、なにもないところでは空からなにかが降ってきて、子供のころはいつも生傷が絶えなかった。
物心ついたころにはすでにそうだったため、私はしばらくのあいだ、それが異常なことだとは思っていなかった。
気付いたのはある時期から、同年代の他の子供たちに避けられるようになってからだ。
「ほたるちゃんの近くにいるといやなことが起こる」
なんの悪意も込められていない、文字通りの無邪気な言葉だった。
改めて周りを見回してみる。他の人たちは私と比べて、そんなにケガをしていなかった。
私以外の人間にとって、この世界では、犬は誰にでも吠えているわけではなく、鳥は人を狙ってフンを落としてはおらず、雨の日のドライバーは歩行者に水を浴びせることに生きがいを見出しているわけでもないらしい。
じゃあどうして、私だけが?
答えはやはり子供たちが教えてくれた。「ちかよるな、不幸がうつる」と。
ひそかに抱いていた数々の疑問が、そのひとことで氷解した。
ああそうか、私は『不幸』なんだ。
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