白菊ほたる『災いの子』
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184: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/07/16(月) 00:02:38.30 ID:we/MuDDP0
 ――と、そのとき。

「お届け物でーす」

 ガチャリとドアが開き。私はあわててプロデューサーさんの手を離して飛びのいた。

 入ってきたのは、事務員の千川ちひろさんだった。

「千川さん、お疲れさまです」とプロデューサーさんが言う。

「お、お疲れさまです」私も続けて言った。

「……手と手を取り合って、なにしてたんですか?」

 ちひろさんが不審そうに訊ねる。

「傷を見てもらってたんですよ、これ」

 プロデューサーさんが手の甲をちひろさんに向ける。

「あら、きれいにすっぱりいってますね。これならむしろ前より丈夫になるってもんです。よかったですね」

「それ、ふつう骨折とかで言いません?」

「なんだって同じですよ」

「そうですかね? ところで、届け物というのは?」

「あ、そうでした。ほたるちゃん、これ」

 ちひろさんが私のほうに向き直り、輪ゴムで束ねた封筒を差し出してくる。

「ファンレターですよ、ほたるちゃん宛ての」

「ファ……ファンレター!? 不幸の手紙ではなくて!?」

「ほたるちゃんは、なにを言ってるんですか?」

「そういうやつなので」とプロデューサーさんが言った。


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