150: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/28(木) 00:54:42.34 ID:sg2qAd8w0
1週間ほど経って、例の事務所から電話がかかってきた。どうやら番号は一応控えていたらしい。
《以前おっしゃっていた、白菊の移籍の件ですが》
前のときより、いくらか疲れているような社長の声が届く。不思議なことに、消沈していてもまだ横柄そうに聞こえた。
「ああ、あの件でしたら、もうけっこうです」
《いえ、なんと言いますか……こちらもさすがに欲張りすぎたと反省しておりまして……1千万ではいかがでしょう?》
「ですから、その件はもうけっこうです」
《……500万では?》
必死さを取り繕う余裕もなくなっているようだった。
少し間を置き、わざと相手に伝わるようにため息をつく。
「白菊ほたるさんでしたか? あの後に知ったのですが、彼女ちょっとした有名人らしいですね。なんでも、『不幸をもたらす』とか」
《根も葉もない噂ですよ! バカバカしい!》
「しかし、現にそちらの事務所は、状況が逼迫しているのでは?」
返事はない。どう返していいか考えているようだった。
「失礼します」と言って電話を切った。
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