86:名無しNIPPER[saga]
2018/11/15(木) 22:16:23.51 ID:fN5d1hik0
「ど、どうしようさやかちゃんーーッ!」
さやかの額に汗が流れる。
自分が切れるカードと、そのリスクを天秤にかけて状況を整理する。
限られた短い時間の中、いくつもの思いが交錯した。
そして決断する。
「……まどか。マミさんを呼びに行って」
静かに、けれど力を込めた声でさやかは言った。
「あたしはここに残る」
「そんな!? 危ないよさやかちゃんッ!」
「分かってる! けど、そうしなきゃ何かあった時に誰も対処できないじゃん! もしもの時の『保険』が無いと、ここにいる人たちが犠牲になるのを防げない」
「さやか、ちゃん……」
「ここには恭介だっている。見捨てる事なんて出来ないよ!」
さやかの言っている意味とその決意は、当然まどかにも理解できている。
それでも逡巡する彼女にさやかはもう一度、行って、と小さく告げた。
「急ぐんだ、まどか」
それを後押しするように、キュゥべえが言う。
「大丈夫。さやかには僕がついている。どのみち、僕がいないとマミが結界を見つける事もできないし。さやかの言う『保険』も使えないしね」
「……、分かった」
まどかは少しの間キュゥべえとさやかの方を見て戸惑っていたが、意を決したように踵を返すと一目散に駆けて行く。
「すぐにマミさんを連れて戻ってくるから! 絶対無茶はしないでね!!」
小さくなっていく親友の背中を見送り、さやかは少しだけ表情を緩ませた。
「良かったのかい?」
傍らのキュゥべえが囁く。
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