84:名無しNIPPER[saga]
2018/11/15(木) 22:14:27.77 ID:fN5d1hik0
さやかはまどかとキュゥべえを交互に見ると、パンパンとスカートについた土を払い、
「一体何が起こったの……? グリーフシードじゃないのこれ?」
「グリーフシードだよ」
キュゥべえは被せるように言った。
ただし、と彼は続け、
「これはもう『孵化』寸前だ。このままだと魔女が生まれ、直に結界ができてしまう」
「ふ、『孵化』ぁ!?」
「『孵化』ってどういう事キュゥべえ!? グリーフシードはソウルジェムの穢れを取る為の道具なんじゃないの?」
不安と焦燥の混じった声でまどかは尋ねる。
もしかして、とその横で呟いたのはさやかだ。
「グリーフシードって魔女の卵なの……? そういや、マミさんが使い終わったグリーフシードはアンタが処分してたよね? それって新たな魔女が生まれないようにする為……?」
「じゃあ早く処分してよキュゥべえ! こんな所で魔女が生まれたら、大変な事になっちゃうーー!」
魔女は人間の感情を吸い取ってエネルギーにすると巴マミは言っていた。
ここは病院だ。
ただでさえ悩みを抱えていたり、苦しんでいたりする人が多く集まる場所でそういった『負の感情』を糧にする魔女が活動を始めたら一体どれだけの人が犠牲になるのか。
まどかの脳裏に旧繁華街の廃ビルで見た光景が思い浮かぶ。
あの時、魔女に操られた若い女性はビルの屋上から飛び下り自殺を計ったのだ。
これが魔女の卵だと言うのなら、さっさと処理しなければ同じ事が起きてしまう。
が、キュゥべえは静かに首を横に振った。
「悪いけど、それはできないよ」
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