垣根帝督「協力しろ」鹿目まどか「ええ…」
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78:名無しNIPPER
2018/11/09(金) 00:37:10.76 ID:x5VviyjQ0
       ☆



美樹さやかは目を瞑って左耳から聞こえてくる心地よい音に身を任せていた。

幼い頃から上条の演奏を側で聞いてきた事もあって、クラシック音楽に関してさやかはズブの素人ではない。

有名ヴァイオリニストのコンサートにも行ったし、専門書を買ってきて勉強もした。

彼女自身が音楽をしている訳ではないが、全ては上条と話を合わせる為、上条の事を理解する為、彼女はそれを苦に感じた事はなかった。

上条がヴァイオリンにどれだけ人生を捧げてきたか、近くで見てきたさやかはよく知っている。

さやかは彼の奏でる音が大好きだったし、それを心地よいと感じる事自体がある意味で彼と意識を共有している事になると思っていた。

彼女にとって音楽とはただの娯楽ではなく、二人を繋ぎ止める為のツールだったのだ。

だから自信があった。

今回のCDはさやかが試曲を重ねて吟味した物だ。

上条の好みに合わせた渾身の一枚。

きっとイヤホンコードの先では同じような表情で同じように音楽に聞き入っている幼なじみがいるはずだ。

浮かない顔の上条も、これを聞いて元気を取り戻して欲しいという純粋な願い。

「……もういい」

だが、人の気持ちというのはそう単純ではない。

「……え?」

横から聞こえた声にさやかは目線を移す。

上条は既にイヤホンを外していた。

その顔は俯いていて、さやかが想像していた上条の反応とはかけ離れている。

彼が大好きな音楽を聞いて今までこんな表情をした事があっただろうか。



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