66:名無しNIPPER
2018/06/12(火) 06:49:06.20 ID:psAQX80k0
「……、すいません垣根さん。分かんないっス」
「まあそりゃそうだろ」
「……、」
もしかしてからかわれているのだろうか。
誉望の中で微かな不信感が芽生え始めるが、当然口には出せない。
逆らったところで、結末は見えているのだ。
誉望が黙っていると、痺れを切らしたように垣根がタブレットを操作し始めた。
「読唇術だよ」
ボソッ、と彼は呟いて、
「コイツらが会話してる場面だけ抜き出した。口の動きから何喋ってるか推測するんだ」
「垣根さんってそんなスキルあったんですか?」
「バーカ、んな訳ねえだろ。アプリだよ」
垣根はうっとおしそうに答える。
「元々は探偵とかが浮気調査なんかに使う為の物らしいがな。まあ物は使いようだな」
「えぇ!? そんな物あるんスねえ」
誉望にとっては初耳だった。
コンプライアンス的にどうかとは思うが、確かにこの場面においては有効かもしれない。
彼女が本当に今回の事件に関わっているなら、会話の中に何かしらのヒントがあるかも。
もっとも後輩2人の前でそんな事を明かすかは分からないが。
「で、結果はどうだったんですか?」
少しはやる気持ちで誉望は尋ねる。
「やや黒に近いグレーってところ」
「と、言うと?」
「まず思ったのが、会話内容の意味が分からん」
「?」
どういう事だろう、と誉望は思う。
この中学生たちは聡明な超能力者(Level5)でも分からないほど高度な会話をしていると言うのだろうか。
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