垣根帝督「協力しろ」鹿目まどか「ええ…」
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60:名無しNIPPER
2018/05/31(木) 02:54:53.44 ID:0yTXSYnu0
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見滝原に着いた時には既に陽は沈んでいた。

研究施設の前に到着したワゴン車から、垣根帝督と誉望万化が降りてくる。

「お待ちしておりました」

出迎えたのは白衣を着た初老の男だった。

深々と頭を下げる彼に、垣根は苦い顔をする。

「結局"外"に出てから監視の目が付きっぱなしか。俺たちは進んでこの依頼を受けてんだ。目を離したって逃げたりしねえよ」

「いえいえ、そのような意図はございません。ただここは重要な施設でして。職員用のセキュリティチップが無ければ中には入れませんので、私がお迎えに上がったのです」

研究員に案内されて垣根と誉望は中へ入る。

研究施設は比較的中心街からは離れた山手に位置していた。

敷地内には電波塔のようなものも建っていて、外からは発電所のように見える。

「カモフラージュっスか? 学園都市の研究施設だと分かれば面白半分に侵入しようとする奴もいるでしょうし」

「実際に電気の供給もしているのですよ。まああの電波塔は飾りで、発電自体は換気口から出る風を使った風力発電ですが」

「まどろっこしいことしてやがんな。学園都市と提携した段階で何の見返りもなく金と技術だけ得られるとは思ってねえだろうに」

「互いの上層部はそうだとしても、一般市民の支持を得られるかは別です。表向きは"衰退する地方都市を見かねた学園都市が援助してくれた"というふうにしといた方が都合が良いのですよ」

「ハッ、お涙頂戴なストーリーだな。やってる事は大航海時代のヨーロッパと変わらねえのにな」

彼らは研究施設の奥へと進み、やがて半円系の広い部屋に出た。

壁一面には無数のモニタ画面が映し出されている。

そのモニタの中の映像は定期的に切り替わっており、それぞれの画面が全て違う映像を流していた。

「監視カメラの映像はこれで全部か?」

「はい。全部で4500台ほどございます」

「過去のものは?」

「直近3年間の物はここで保管してあります。それ以前のものは学園都市に送付済みです」

「十分だ」

垣根は短く言うと、オイ、と誉望へ声をかける。

垣根の合図を聞き、誉望は傍らのスーツケースから金属製のシャンプーハットのような物を取り出して頭に被った。

周りからはいくつものケーブルが延びており、彼はそのケーブルをモニタの管理端末へと繋いでいく。

「? 何をしているのですか彼は」

「現場を洗い出すんだ」

垣根はニヤリと笑って答えた。

「この機材には最近見滝原周辺で起きた事件、事故、自殺なんかの情報を入れてある。そいつとこの監視カメラの情報をリンクさせて、現場近くのカメラに映っている物をリスト化して共通点を浮き彫りにする」

研究員が誉望を見ると、彼は座り込んだまま目を閉じて何かブツブツと呟いている。

「……映像を照合……。該当127件。……半径200メートル以内で検索……複数該当……、人物、6名……。心理学に基づき反応適正を診査。異常反応あり、1名」

作業はほんの数十秒で終わった。

誉望はケーブルを抜き取るとタブレットに結果を入力し、垣根に報告する。



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