61:名無しNIPPER
2018/05/31(木) 02:55:27.63 ID:0yTXSYnu0
「ホシは見つかったか?」
「ええ。絶対とは言い切れませんが可能性は非常に高いと思うっス」
「ふぅん」
垣根はタブレットのページを眺め、気軽に呟いた。
「何から当たりますか」
「決まってんだろ」
彼は照合したデータから"人物"のカテゴリに入れられたスクリーンショットを開く。
そこには、とある少女が映し出されていた。
「黒幕捕まえて吐かせるのが一番手っ取り早い。のんびりしてる暇はねえしな。こいつを調べろ」
垣根はそう言うと、画像を開いたままのタブレットを研究員に押し付ける。
個人情報うんぬんなどと言えるような雰囲気では無い。
あっという間に少女の素性は割れた。
「『巴マミ』。見滝原中学校の3年生っスね。両親は他界してて、市内のマンションで一人暮らしだそうっス。情報を見る限り、特におかしな点は無いっスけど」
「とりあえずコイツの事はカメラで随時追っておけ。周りの人間関係も含めてだ。実際の現場を押さえて吐かせる。言い逃れできねえようにな」
「……了解っス」
「分かりました。くれぐれも殺さないようにお願いします」
研究員の言葉に、相手の出方次第だな、と答えて垣根は部屋を出ていってしまう。
「ハァ……」
相変わらずの垣根の傍若無人な振る舞いに、誉望は思わず溜め息をつく。
「あれが第2位垣根帝督ですか……。噂には聞いていましたが、中々個性的な方のようで」
「ああ、別に気を遣わなくてもいいっスよ。別に俺はあの人の友達じゃないんで。悪口言われてようが全く気にならないっス」
そうですか、と研究員は短く答えた。
にしても、と誉望は言って、
「仲間が何人もいなくなってるのにえらく冷静っスね。もうちょっと悲惨な雰囲気になってるかと思ってたんスけど」
「ああ、それに関してはあなたと垣根さんとの関係と一緒ですよ、とでも答えておきましょう」
「……、なるほどっスね」
そう答えて誉望は会話を打ち切った。
同じ学園都市に所属していると言っても所詮は雇われとクライアントだ。
必要以上にコミュニケーションを取る気もない。
「垣根さんはさっさと終わらせて帰るつもりらしいっスけど、そう上手くいくか」
「万全の注意を払って下さい。これだけ多くの犠牲が出ている事を考えると、相手は相当の手練れでしょうから」
「ご忠告どうもっス」
適当に言って、誉望も部屋を出ていった。
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