垣根帝督「協力しろ」鹿目まどか「ええ…」
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58:名無しNIPPER
2018/05/31(木) 02:52:46.56 ID:0yTXSYnu0
まるで異世界に迷い混んだような光景に、まどかはとある事を思い出した。

「ここって、旧オフィス街?」

最近ニュースで見た内容に、この区画一帯を更地にして大規模なレジャー施設を建設しようとする計画があった。

何でも学園都市13学区にあるテーマパークを運営している企業が関わっているとか。

「そう。ここは元々金融関係の企業ビルが建ち並んでいたんだけど、学園都市の再開発によってビジネス街そのものが移ったことで破棄された地区よ」

明滅するソウルジェムを確認しながら、マミは廃墟の奥へと進んでいく。

その背中にさやかが声をかける。

「あれ? でもさっきマミさん、人通りの多い場所で起きることが多いって言ってませんでしだっけ? こんな所に用がある人なんていないと思いますけど」

さやかはうーんと唸る。

こんな廃墟に来る人なんて、それこそ工事の作業員か溜まり場にしてる不良くらいだと思う。

いずれも、魔女の標的になるような様子はない。

「まあ普通に生活してて立ち寄るような場所ではないわね」

でも、とマミは続けて、

「さっきも言ったけど、魔女は人の感情をエネルギーにしているの。繁華街なんかで回収できるのは主に"怒り"とか"興奮"といった他人に向けられる正の感情ね。でもその逆もあるのよ」

「逆……と言うと、"悲しみ"や"苦しみ"みたいなネガティブな感情ですか?」

「その通りよ」

マミは肯定し、続ける。

「そういった負の感情は主に自分自身に向けられるもの。だからそこを魔女に付け入れられてそのエネルギーを操作されるとーー」

と、そこまで言ったところで彼女たちは何かに気づいた。

正面の廃墟ビル。

その屋上に夕陽に照らされた影が一つ。

不思議な事に、その人影は転落防止用の柵の外側にいる。

さやかがポカンとしていると、まるで石につまづいて倒れるようにその上半身が空中へと躍り出た。

「ーーーッッ!!」

何が起きたのか、その事態をさやかが正しく認識した時にはもう巴マミは走り出していた。

落下する人影に、黄色い糸のような物がまとわりつく。

いや、違う。

黄金色に輝くその細い紐は、リボンだ。

無数のリボンが蜘蛛の巣のように何層にも張り巡らされ、落下の勢いを殺していく。

「……ふんっ!」

巴マミは大きく手を広げた。

それに呼応するようにリボンがビルとビルを繋ぎ、巨大なトランポリンを作り出した。

ポンっと、一度大きく跳ねた女性の身体を彼女はリボンを足場にして受け止める。

「マミさんっ!」

「大丈夫ですか!?」

ようやく事態を飲み込めた2人が、慌ててマミの下へ駆け寄る。

「大丈夫よ。この人にも怪我はないわ」

抱えた女性をゆっくりと下ろし、マミは冷静に答えた。



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