垣根帝督「協力しろ」鹿目まどか「ええ…」
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56:名無しNIPPER
2018/05/31(木) 02:50:40.08 ID:0yTXSYnu0
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放課後、さやかとまどかは巴マミと待ち合わせるため、学校近くのカフェにいた。

魔法少女がどのようなものなのか具体的に体験するため、彼女に同行してみるという約束だった。

まどかはチラリとテーブル脚に立て掛けられたさやかの鞄ーー正確にはその横に置かれている金属バットに目をやる。

当然さやかは野球部などではないし、今から気に食わない相手をこれで襲撃する訳でもない。

まどかの視線に気づくと、さやかはアハハと小さく笑って言った。

「いやあ、さすがにマミさんにおんぶに抱っこになるの前提で何の準備もしないのは失礼かなあって思ってさ」

「ええ……、どうしよう。私何も用意してきてないよさやかちゃん!?」

正直こんなもので前に遭遇したような化け物と戦えるとは到底思えないのだが、それでも何の準備もしていない自分に比べると意気込みが違うと判断されてしまいかねない。

何か適当な武器になりそうなものはないだろうか? まどかは辺りを見渡すも、当然普通のカフェにそんなものがあるはずはない。

不安そうなまどかを見て、さやかは笑いながらバンバンと肩を叩く。

「大丈夫だってー! マミさんはそんなの気にしないよ! 多分……」

「何で濁すの!? そこは言い切ってよ! もう、こうなったらさやかちゃんのバット借りるから!」

まどかは金属バットを持ち上げようとするが、恐らくバットを握ったことが無かったのだろう。想像以上の重量感に若干バランスを崩しそうになる。

「ちょ、何やってんのさ。慣れてないなら無理するなっての」

「だいたい何で準備してくるならそう言ってくれなかったの!? このままだと私だけやる気ないみたいに思われちゃうよ!」

「いや、それだとアンタがバット持ってたら逆にあたしがそう思われちゃうじゃん!? というかマミさんだって別に丸腰で来いとは言ってないし」

さやかは金属バットを取り返そうとするが、まどかも中々手を放さない。

女子中学生2人がバットを奪い合う奇妙な光景に、店内の何人かが注目する。

そして、その中には今到着した巴マミの姿もあった。

遅れてごめんなさい、と声をかけようとした彼女は途中で足を止めると、しばらくその光景を見た後、少し考えてカウンターへ飲み物の注文をしに並ぶ。

ひょっこりと肩の上に乗っかったキュゥべえが言う。

「止めなくていいのかい? マミ」

「いいキュゥべえ? この国では不毛な争いには介入せずに他人のフリをするのが礼儀なのよ」

「なるほど、店内の客に君も同類だと思われたくないんだね」

「……、」

マミは無言でキュゥべえを掴むとスクールバッグの中に押し込んだ。

この国では、あえて見え見えの図星を突かないというのが礼儀なのだ。





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