50:名無しNIPPER
2018/05/26(土) 01:33:06.02 ID:Rbgfgws80
「ただ忠告しに来ただけよ。恐らくその様子だと、巴マミからあらかたの事情は聞いたんでしょ? ソイツの口車に乗ればあなたたちが不幸になるだけよ。悪いことは言わないわ。手を引きなさい」
「そんなの、あたしらの勝手だろ!」
「ええ……。確かにそうね」
ほむらは喧嘩腰のさやかと張り合うつもりはないらしい。
彼女はでも、と前置きして言った。
「それでもソイツと契約すると言うなら肝に命じることね。魔女と戦う運命を背負って、不幸になるのは自分だけとは限らないわよ」
「は? な、何言ってんのよアンタ」
さやかが面食らったような顔になるが、ほむらに説明する気はさらさらないらしい。
「確かに伝えたわよ。それじゃ」
そう言うと、彼女は踵を返して立ち去ろうとする。
そんな背中に、まどかは思わず声をかける。
「ま、待って暁美さん! 暁美さんは、一体どんな願いで魔法少女になったの?」
「……。貴方には関係ないことよ」
「ちょ、そんな言い方ーー!」
と、さやかは食ってかかろうとしたが、その先の台詞は言えなかった。
ほむらが、今まで見たことないような厳しい目つきでこちらを睨んでいたからだ。
「あ、暁美、さんーー?」
「……鹿目まどか。前にも言ったけど、くらぐれも今と違う自分になろうとしないで。今自分が大切に思っている物を失いたくないのなら、尚更よ」
「え? う、うん……」
「分かったならいいわ」
言って、彼女は再び校舎に向かって歩き出した。
「あとそれと」
「……え?」
「暁美さん、じゃなくて『ほむら』でいいわ」
そう言うと、今度こそ彼女は本当に立ち去ってしまった。
まどかとさやかは、しばしの間大掛かりな手品を見たように呆然としていた。
「な、何アイツ? 名前で呼べって、あたしたちと仲良くしたいのか、対立したいのかどっちなのよ」
「さ、さあ?」
「あー! もうほんと訳わかんないなあ! 結局あの転校生に付き合わされて昼休み終わっちゃいそうだし。つーか同じクラスなんですけど!? あんな話した後、顔合わせるの気まずくない訳!?」
がー、と憤って頭を掻き毟るさやか。
その後できるだけほむらと目線を合わせないようにしたさやかだったが、結局それ以降ほむらが話しかけてくることはなかった。
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