垣根帝督「協力しろ」鹿目まどか「ええ…」
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49:名無しNIPPER
2018/05/26(土) 01:32:09.78 ID:Rbgfgws80

        ☆



翌日の昼休み。

さやかとまどかは学校の屋上にいた。

その近くではキュゥべえが気持ち良さそうに日向ぼっこしている。

「ああ言われてもさあ、特にないんだよねえ願い事って」

転落防止用柵に背中を預け、ダラリと座ったままさやかが呟く。

「そりゃあ世俗的な願望ならいくらでもあるよ? 億万長者とか、有名人気タレントとか、満漢全席とか?」

「さやかちゃん。最後のはちょっと……、違うと思うけど」

アハハとまどかは小さく笑って言う。

ちなみに彼女たちはキュゥべえを介することで、言葉を発さずとも会話ができる。

ただそれをすると魔法少女である巴マミにも聞こえてしまうので、よほどの事がない限りは使わないようにしようと決めていた。

下手に失言すれば信用に関わる。

「でもそんなの命賭けてまで叶える事じゃないし、本当に自分がやりたいことって言われると、何にも思いつかないなあって」

「うん。私も、そうかな」

食べ終えたランチボックスを丁寧に包みながら、まどかは言う。

「今まであんまり、将来自分が何になりたいとか、何をしたいとか考えたことなかったし。自分の人生についてすぐ結論を出すのは、ちょっと難しい気がする」

だよねぇ、とさやかも同意する。

でもさ、と彼女は続けて、

「そう思えることって、きっと幸せなんだろうね。だってこの世界にはさ、今本当に困ってて、それこそどんな事をしてでも叶えたい願いがある人だってきっといるはずだし」

その通りだと、まどかも思う。

叶えたい願いが思いつかないというのは、特に今の生活に不自由していないということだ。

もし日々食うや食わずの貧困状態だったら。

もし今日生き延びられるかどうかも分からないような紛争地帯で暮らしていたら。

きっと今のような感想ではなかったはずだ。

と、そんな時だった。

「そう思うなら、無闇に首を突っ込まないことね。後になって悔やんでもどうしようもないわよ」

突然の声の方向に2人は顔を向ける。

そこにいたのは、話題の転校生暁美ほむらだった。

「あ、暁美さん!?」

「転校生……! あんた何しに来たのよ!」

つい今までダラダラしていたさやかの目線が急に鋭くなる。

彼女たちと巴マミは先日、ショッピングモールでキュゥべえを巡って一悶着あった仲だ。

「またキュゥべえを狙いに来たの? 懲りないわね、アンタ」

「別に。できればソイツが鹿目まどかに接触する前に手を打ちたかったけれど、もう手遅れのようだしね」

キュゥべえを守るように脇に抱え、今にも飛びかかろうかというさやかに対し、ほむらは顔色一つ変えず、冷静に話す。



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