16:名無しNIPPER
2018/05/06(日) 22:59:44.44 ID:tVC08wRX0
昨日は常に人だかりができていて話しかけられなかったし、今日頃合いを見て聞いてみよう。
鹿目まどかがそんな事を自分に言い聞かせていた3限目終わりの休み時間。
その機会は突然やって来た。
「鹿目さん? ちょっといいかしら」
「うひぁぅっ!?」
突然背後から声をかけられて、まどかは何とも間抜けな声を上げる。
振り返ると件の転校生ほむらは相変わらずなクールな表情だったが、まどかのあまりの反応に若干動揺したらしく、少し身体が後ろにのけ反っている。
彼女は気を取り直して言う。
「……鹿目さん。あなた保健委員よね」
「う、うん……。そうだけど」
「私、ちょっと頭が痛くて。保健室、案内してもらえるかしら?」
そう言って、ほむらは教室から出ていく。
「……、」
「……、」
スタスタと歩き続けるほむら。
案内してと言ったのに、なぜ勝手に行こうとするのか。
困惑するまどかだが、ほむらはそんな事を知ってか知らずか、後ろを振り向こうとすらしない。
これでは自分がいなくなったとしても問題ないのではないか、と彼女は思う。
「……あ、あのー。暁美、さん?」
たまらずまどかは声をかける。
それに対して、ほむらは振り向きさえせず、歩きながら返した。
「何かしら?」
「えーと、もしかして……、保健室の場所知ってたりするのかなぁって……」
「いいえ、知らないわ」
そうは言うが、彼女が歩いているのは保健室までの最短ルートだ。
間違った方向に行ってれば、無理矢理止めて案内することもできるが、正しい方へ行かれてしまってはただついていくしかない。
ほむらのそっけない雰囲気に、まどかは問い詰めるのを諦め、話題を変えることにした。
「ね、ねぇ暁美さん。もし、勘違いだったら悪いんだけどさ」
控えめな性格の彼女らしく、断りを入れてから話し始める。
「……昨日、自己紹介の時に、不自然に目が合った気がしたんだけど……。もしかして、前に会ったことが、あったり?」
彼女がそう聞いた瞬間、今まで顔さえ向けてくれなかったほむらの足が、ピタリと止まった。
いきなり止まると思っていなかったまどかは、思わず背中にぶつかりそうになる。
「え? え」
何か気に障るような事を言っただろうか? 慌てそうになるまどかに、背中を見せていたほむらがゆっくりと振り返る。
「鹿目まどか。自分や家族、友達の人生が尊いと、思う? 大事にしてる?」
「え、ええ……?」
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