114:名無しNIPPER
2019/05/29(水) 00:45:51.40 ID:fMCv71Lw0
彼女は誉望の持つ端末を一瞥すると突き放すように言う。
「そんなもの役に立たないわ。ここはさっきまであなたがいた場所とは違う。例えるなら見えない地下空間みたいなもので、人工衛星からの信号なんて届かないわよ」
「……まあ薄々そんな気はしてたけどさ」
誉望は小さく息を吐いて、ある意味彼の分身と言っても過言ではない携帯端末をポケットにしまった。
これで垣根や下部組織の連中との通信手段も失われた。
彼とて己の能力に自信がない訳ではないが、この状況でそれがどこまで通用するかは未知数だ。
そうなると不測の事態が起こった時にはこの少女の力に頼るしかない。
(……魔法少女、魔女か)
彼は頭の中で垣根とのやり取りを反芻する。
第二位の超能力者をもってしても理解不能な科学とは畑違いの能力を操る存在。
その鍵を握る巴マミの関連人物として、この少女はピックアップされていなかったはずだ。
だが仲間かどうかはさておいて、状況から見て「同類」である事はほぼ間違いないだろう。
ならば、巴マミと同じレベルの情報を彼女も持っている可能性はある。
「……、」
誉望はふと目線を横に向ける。
相変わらずクールな少女はスタスタと無言で歩いているだけだ。
「……、随分と慣れてるんだな」
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