110:名無しNIPPER[saga]
2018/11/26(月) 00:02:46.99 ID:6W53p2eU0
「ーーき、ゃあああああああああああああああああああああッッッッッッ!!!?」
(何!? 一体何が起こったのーー!?)
風に飛ばされる空きペットボトルのように何度もバウンドして、最後は地面に叩きつけられるようにして止まった。
その最中で、魔女の細長い身体に何かがめり込んでいるのを見た。
(あれは、使い魔ーー!?)
勿論、魔女の手下がマミを助けるはずがない。
ただ風に煽られて飛んできただけだろう。
ならば、今の烈風を引き起こしたのは誰だ。
真っ先に思い浮かんだのは、先ほど拘束した暁美ほむらという少女。
彼女がどうにかしてリボンから抜け出し、援護してくれたのかと思ったが、
「あーあ、思わずぶっ飛ばしちまった。でもいきなり襲われたら反射的にこうなっちまうのは仕方ねえよな?」
聞こえたのは気だるそうな若い男の声。
コツンコツンとわざとらしく靴音を鳴らしながら声の主はこちらへ向かって来る。
「よお大丈夫かー? 何か巻き込んじまったみたいだが、別にわざとじゃねえんだ。悪かった悪かった。邪魔するつもりはねえから許してくれ」
本当に謝罪する気があるのかどうかも怪しいほどその声色は軽い。
彼は辺りをぐるりと見回すと、ほお……と感心するように息を漏らした。
「おお、スッゲエなこれ。今まで色々見てきたが、そんなの置き去りにするぐらいぶっ飛んじまってる。探せばあるもんだな本当に」
「一体ーー、何……言ってんのよ」
瓦礫の陰からよろよろと起き上がったのは美樹さやかだった。
彼女も風に煽られてどこかを打ったらしく、顔には苦悶の表情を浮かべている。
「ああ何だっけお前? まあ、どうでもいいや。『本命』は向こうだしな」
言って、少年は違う方向を指差した。
地面に尻もちをついている、巴マミの方を。
当のマミは、意味が分からないといった表情で目を丸くしている。
まだ上手く状況を飲み込めていないようだが、とりあえず命の危機を脱したばかりで、完全に腰を抜かしてしまっているようだった。
ただ、その脅威はまだ終わっていない。
彼女がその事を思い出したのは、すぐ横を恐るべきスピードで何かが抜けていったからだ。
つまりはお菓子の魔女。
先ほどまでマミと対峙していたが、もう彼女の事など眼中にないのか、一目散に少年の下へ突撃していく。
「ーーッッッッ!!!?」
彼女の中で止まっていた時間が動き出す。
腰が抜けていたはずなのに、巴マミは背筋にドライアイスでもぶち込まれたように立ち上がった。
悲劇が起こる。
「危ない、逃げてーーーーッッ!!!!」
彼女はありったけの声で叫んだ。
そうしながら、マスケット銃を取り出す。
が、魔女の動きは速い。
(間に合わないーーッ!)
一方で、当の少年はそれでも憮然とした態度を崩そうとしない。
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