151:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 23:31:03.88 ID:A6rjc17z0
「あんたは?」
「失礼……申し遅れました」
胸元から名刺入れを取り出し、一枚引き出しました。
「こういう者です。本日は、私がプロデュースするアイドルも出場致します」
私にも、丁寧に名刺をくださったので、慌ててお返しをします。
やっぱり、あの子達のプロデューサーだったんですね。
「へぇ……346さんのプロデューサーさんでしたか。
何も気ぃ遣わなくていいと思うがね、こんな弱小事務所のさ」
受け取った名刺をポケットにしまうと、彼は大袈裟に肩をすくめてみせました。
「毎年この時期に台風が来るの分かってんなら、開催時期をずらしゃいいだろ?」
「確かに、そのようなご指摘をいただく事もございます」
346プロのプロデューサーは、落ち着きのある低い、でもハッキリと通る声で毅然と答えます。
「ですが、大型連休を利用してファンの方々がお越しになられやすい時期を検討した上での事です。
何より、台風の一つ来たところで開催が困難になるほど、私共のフェスは脆弱ではございません」
「フン、そうかい。俺は心配性だから、てるてる坊主でもシコシコ作っとくよ」
「ありがとうございます」
「皮肉で言ってんだよ、つまらねぇ」
面倒くさそうに、後ろ手に手を振りながら、彼は芝生を靴裏で蹴りつつ去って行きました。
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