104:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 19:41:54.39 ID:A6rjc17z0
「……弊社が、ですか?」
話の意図が分からず、キョトンとした顔をするしかない私に、その男の人は手を振りました。
「だからさぁー! 分かんない?
身の程を弁えた方が、って話ですよ。オタクも子供じゃないんだからそれくらい察してほしいけどなぁ。
“死神”ちゃんだって、とっとと諦めて普通の生活した方が、その子や業界全体のためにも良いでしょ?」
「……そうでしょうか?」
「あぁ?」
私は、席を立ちました。
「彼女の事を知らない人に、知った風な口を聞いてほしくはありません。
本当の彼女を……あなたが“死神”と揶揄するほたるちゃんが、どれほど素晴らしいアイドルか」
「あ、おい」
真っ白な頭のまま、気づけば入り口のドアに手を掛け、それを引きながら私は彼に目を向けました。
「当日、お教えします。ほたるちゃんの本当の姿を……失礼します」
ガタンッ、と、少し乱暴に引き戸を閉めてしまい――。
荒い呼吸がやっと落ち着いた時、汗で滲んだ手の平に、爪の跡がくっきり残っている事に気がつきました。
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