小日向美穂「神様にはセンチメンタルなんて感情はない」
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8:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:26:50.35 ID:WQSNhX7B0



お化けなんていうのはそもそも論理的に考えて存在するわけがなく、ましてやお化け屋敷などスタッフがお化けの仮装をして脅かすだけの非合理的なアトラクションなので行く意味がありません。
論破です。

とは事務所の橘ありすちゃんの言葉である。

「卯月ちゃんは怖いの苦手?」

「うーん、ちょっと苦手かもです……」

そう言う卯月ちゃんの表情はどちらかというと「かなり苦手」って感じだった。

私たちはペンキの剥げかかった固いベンチに座って一緒にアイスを食べていた。
真上には緑いっぱいの広葉樹がちょうどいい影になっていて、遊園地で歩き疲れた私たちはそこで休憩していたのだ。

メリーゴーランド、観覧車、くるくる回るコーヒーカップ。

ひととおり遊んだあと、最後に私たちの前に現れたのは遊園地にお決まりのちゃちなお化け屋敷。
私は怖いのはわりと耐性のある方で、もちろんものすごく怖いホラー映画とかはムリだけど、あれくらいの子供だましっぽいお化け屋敷は全然平気だった。

「私、お化け屋敷って入ったことないんです」

「ええっ、うそー」

「あ、そういえば小学校の学園祭で一回やったことありました」

「じゃあ本物は体験したことないんだ」

「本物?」

って卯月ちゃんがキョトンとしたから、私は目の前のお客さんが誰もいないお化け屋敷を指差して、

「ああいうのが本物っていうんだよ」

と言ったら、彼女の顔つきが途端にこわばって、

「ほ、本物の幽霊さんがいるんですか?」

なんて言い出すから、私は頬がゆるむのを懸命にこらえながらいかにも真実らしく答えるのだ。

「そうだよ。あそこはね、本物の幽霊が集まる場所なんだよ」


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