小日向美穂「神様にはセンチメンタルなんて感情はない」
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42:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:51:15.24 ID:WQSNhX7B0
「たぶん、そういうことじゃないと思う。この映画で言いたかったことは、人はみんな自分に都合の良いように現実を歪めて見ていて、それを思い出として自分のなかにもう1つの現実を作ってしまうってことなんだと思う」

「ふーん……?」

「でもそれって悪いことじゃないと思うの。だって人は生きてる限り、好むと好まざるとにかかわらず誰かの思い出になるわけでしょ?」

「私も誰かの思い出になってるの?」

「そうよ。実際、あんたは私やあんたの両親、いろんな友達、学校の先生の思い出の一部になってるんだから」

「じゃあ、お姉ちゃんも私の思い出なの?」

「まあね」

そう言ってお姉ちゃんは恥ずかしそうにはにかんで私の頭を撫でました。

「あんたが私のことを忘れたりしない限りね」

「忘れないよ、ぜったい」

「宿題は忘れるのに?」

お姉ちゃんがばかにしたように笑ったので私はぷくーっと頬をふくらませるのでした。

「ま、もし忘れたら化けて出てやるから、その時はせいぜい報いを受けなさい」

そう言ってお姉ちゃんはお化けみたいに手を前にぷらぷらさせて私をおどかす真似をしました。
でも私はお姉ちゃんの幽霊を想像すると怖いというより悲しくなってしまうのでした。

「あんたもいつか気付く時が来るわよ。世の中ハッピーエンドだけじゃないってことにね」

「思い出を忘れちゃうから?」

「物語には必ず終わりがあるからよ」

私は考えました。
ほんとうにそうだろうか?


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