小日向美穂「神様にはセンチメンタルなんて感情はない」
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36:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:47:24.95 ID:WQSNhX7B0
「卯月ちゃんは、自分はからっぽなんだって言ってました」

「それは天使に限らず、人間や動物といったあらゆる現象に対して言えることです」

文香さんは意外なくらいはっきり答えた。
でもやっぱり、肝心なところは教えてくれない。

「美穂さんのお気持ちは分かります。が、私はなにも正しい答えの話をしているわけではないんです。私はしがないアイドルであって学者ではないし、ましてや医者でもありませんから」

「私は……私は正しい答えを知りたいんです。そう思うのは間違っているんですか?」

「……何が正解で何が不正解かということは、私から美穂さんに教えられるようなものではありません」

文香さんはそう言って悲しそうに私を見つめ返した。
それは卯月ちゃんが自分のことについて説明するのを諦めるとき、いつもするような切ない微笑と同じ眼差しだった。

「……ですが」

私が落胆するのを見かねたように文香さんは語りだした。

「ですが、私自身の考えを……美穂さんに知ってもらうことはできます」

「それは、どういう……」

文香さんは自分が言ったことを後悔するようにじっと目を伏せて、しばらく黙った。
と思うと手に持ったペットボトルのお茶を両手で包み込み、何か思いつめたように顔を横にそむけた。
やがて読んでいた本のページを閉じるみたいに小さく溜め息をついて、それから口をひらいた。

「これは美穂さんの記憶の話なんです」

「記憶の話?」


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