小日向美穂「神様にはセンチメンタルなんて感情はない」
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35:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:46:41.88 ID:WQSNhX7B0
休憩室の自販機でお茶とジュースを買い、奥の目立たないテーブルに向かい合って座った。
そしてどうやって話を切り出したらいいか分からなくて私がもじもじしていると、文香さんがゆっくりと話しはじめた。

「卯月さんは、具体的にどのように不安定なんでしょうか?」

「えっと、本人が言うには時間の感覚がちょっとおかしくなったりだとか、位置がずれるだとか、そういうことを言ってました」

「ふむ……」

文香さんは考え込むように目線を机の上に投げかけた。

「程度によりますが、私自身もそういった違和感をときどき感じることがあります。時間が伸び縮みしたり、自分の心の位置と体の位置が思ったように重ならないということは、天使にはしばしば起こりうることだそうです」

「はあ……?」

「卯月さんの抱えている悩みが実際的な意味でのずれだと仮定して、それが極端に不安定になる、というのは、様々な原因が考えられますが……」

それ以上のことは本人に確認してみないと分かりません、と続くのを文香さんは沈黙で語った。
まあ、それは分かっていたことだ。
天使じゃない人間の話を聞くだけでは限界がある。
私もそこまで自分に期待していたわけじゃない。

「私、卯月ちゃんのちからになりたいんです。でも卯月ちゃんは全然、自分のことについて話してくれなくて」

「話したくてもそれが難しいということもあるのです。とくに私たち天使は全員が同じきっかけで目覚めたわけではないので」

「でも文香さんは天使について詳しいんですよね? ありすちゃんがそう言って……つまり、天使ってなんなんですか? それを教えて欲しいんです」

私は単刀直入に質問した。
文香さんは落ち着いた様子で答えた。

「それは私にも分かりません」

がっくり。


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