小日向美穂「神様にはセンチメンタルなんて感情はない」
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34:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:46:06.43 ID:WQSNhX7B0



私の事務所のもうひとりの天使について簡単に紹介しようと思う。

名前は鷺沢文香さんといって、よく本を読んでいる人です。

他には、えーっと……アイドルをやっている人です。
ってそれは当たり前か。

まあつまるところ、彼女について私は何も知らないのだ。
とはいえ彼女は別にミステリアスなキャラクターで売り出してるわけじゃなくて、単にこれまでほとんど接点がなかっただけなんだけど。

「天使について、ですか?」

「はい。おね……卯月ちゃんが最近どうも不安定みたいで、あっ、不安定っていうのは病気とかそういうのじゃないらしくて、本人が言うには天使の症状のひとつみたいで、でも卯月ちゃんはその、あんまりそういうのを人に相談しない子だから、だから私が代わりに相談しようと思って、それで文香さんしかいなくて」

「そうですか……であれば近いうちに私から卯月さんに話を聞いてみましょう」

「あっ、えっとその、できれば私に教えてほしいな、なんて」

「……ああ、それは失礼しました……」

文香さんは驚いたように呟いて、それから私のほうに向き直った。
それはまるで言いたいことは全て承知しましたって感じの仕草だった。
実際、文香さんにまっすぐ見つめられると心の奥底を覗かれたような気分になる。
それが天使的なちからによるものなのか、それとも文香さん個人の生まれ持った資質によるものなのか、私には分からないけど。

「これからお時間は空いていますか?」

「は、はい」

「ではあちらのスペースで……」

そう言って文香さんはビルのすみっこにある小さな休憩室に誘った。

偶然、仕事終わりに帰ろうとしている文香さんを見かけて反射的に声をかけたはいいものの、具体的に何をどう相談するのかぜんぜん考えてなかったから、私はしどろもどろになって文香さんに誘われるがまま付いて行くのだった。


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