小日向美穂「神様にはセンチメンタルなんて感情はない」
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15:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:32:27.55 ID:WQSNhX7B0
「それは、えーっと……分かりません」

ありすちゃんは申し訳無さそうにうなだれた。

「ありすちゃんもこういう経験をしたことがあるんじゃないの?」

「そうですね。文香さんはよくフラッといなくなる人ですから」

じつはこの事務所には卯月ちゃんの他にもう1人、天使がいる。
ありすちゃんも私と同じように天使とつがいになった人間なのだ。

「ただ、文香さんの場合はいなくなってもすぐ戻ってきますし、たぶんいなくなる原理も卯月さんの場合とは違うと思います」

「じゃあどうしてありすちゃんは知ってるの? その、私と卯月ちゃんが重なってるってこと」

「以前、天使が宇宙ゆりかごの外にはみ出すときの主なパターンを文香さんから教わったので」

宇宙ゆりかごというのは大雑把に言えばいま私たちが生きている循環する世界のことで、つまりお姉ちゃんは私たちの世界からはみ出してしまったのだった。
まあ、天使のまわりで変わったことが起きる時はたいていそれが原因なのです。

「卯月ちゃんはそういうの全然教えてくれないんだよね。やっぱり天使ってケチなのかな」

私が冗談を言うとありすちゃんは面白くなさそうにムスッとした。
私と違ってありすちゃんは天使全般を尊敬しているので(と言ってもそういう宗教に入ってるわけではない)天使を貶すような言葉づかいに敏感なのだ。

「天使の中にも私たち人類に対して説明を試みる方々が少なくないんですよ。文香さんもその1人です。ただ大多数の天使が自分たちのことを言葉にして伝えることを諦めているのは事実のようですが……」

それは卯月ちゃんも言っていた。
『天使ってなんなのか、私にもよく分からないんです。だって、私はなにも変わってないんですよ?』
世界中の頭のいい学者さんたちですら理解できないんだから仕方ないと言えば仕方ないのかもしれないけどね。

「いまここに文香さんがいれば、卯月さんがいなくなったことについて相談できるんですけど」

「もしかして文香さんもどこかに消えちゃったの?」

「いえ、スタジオにこもってレッスンしてます。近いうちにライブがあるので」

天使もお仕事はしなくちゃいけないのだ。
あまねく人々に天使の祝福を!ってわけ。
あーあ。


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