小日向美穂「神様にはセンチメンタルなんて感情はない」
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10:名無しNIPPER[saga]
2018/04/24(火) 22:28:38.73 ID:WQSNhX7B0
「ああ、お金はいりませんよ。入場チケットだけ見せていただければ」

入場料がいらないのはお財布的には助かるけど、それはそれでますます大丈夫かなって気がしてくる。

私と卯月ちゃんが不安に顔を見合わせていると、お姉さんが照れくさそうに笑って言った。

「じつはもう何ヶ月もお客さんなんて来たことなかったからちょっとびっくりしちゃって……あ、そうそう、先に説明しておかなくちゃいけないことがあるんだった」

お姉さんは机の上にあるプレートを手にとり、そこに書かれてある注意事項を読み上げた。

(1)走らないでください。また先に進んだら後ろは振り向かないでください。

(2)写真撮影はご遠慮ください。

(3)飲食物の持ち込みは禁止です。

(4)ときどき"時計男"が現れることがあります。話しかけられても無視してください。

「時計男?」

私がたずねるとお姉さんは肩をすくめて答えた。

「私はいままで一度も見た事がないけど、昔はよくここに住み着いていたらしいのよ。まあ居たとしても実害はないし、時計男が珍しかった時代はむしろそれ目当てに来たお客さんが大勢いたみたいなんだけどね」

時計男というのは卯月ちゃん的な存在の亜種みたいなもので、つまり天使の成れの果てのことだ。
まあ、天使と言ってもいろんなのがいるからね。

卯月ちゃんが緊張したように私の顔を覗きこんで言った。

「ど、どうしよう。時計男に会っちゃったら……」

卯月ちゃんにしてみれば自分の影におっかなびっくりするようなもので、それもなんだかおかしな話なんだけど、私は彼女の手をしっかり握ってこう言うのだ。

私がいるから大丈夫だよ、って。


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