6:名無しNIPPER
2018/04/24(火) 20:44:29.61 ID:25rQ95o00
「朝ごはんの準備ができたから、起こしに来ちゃいました。まだ寝てたかった?」
「いえ、ただ……」
ジッと時計を見ていた少女が私に振り向く。
カーテンからの光が顔に掛かり、眩しそうに目を細めながら、薄い唇が朝もやに包まれた湖畔のように淡く微笑んだ。
「せっかく買ってもらったのに、もう壊れちゃったと思って」
私は彼女の手から時計をとると、耳に近づける。
カチカチと、一定のリズムで動く歯車の音が耳をたたいた。
わかりきったことを確認しただけ。
「やっぱり、壊れてませんね」
「ですね」
私が笑って、つられるように彼女も笑った。
私は改めて言った。
「おはよう、ほたるちゃん」
「おはようございます。茄子さん」
今、私はほたるちゃんと暮らしていた。
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