43:名無しNIPPER
2018/04/24(火) 21:49:16.70 ID:25rQ95o00
「ご、ごめんなさい。急に叫んだりして」
ほたるちゃんは駆け寄って、私の足元に散らばったガラスの破片を拾うとした。
しゃがんだほたるちゃんの肩に、私は手を添えた。
「コップのことは良いから……教えてくれない? 離れなきゃいけない理由」
憂いに、怯えすら含んだ瞳が私を見つめていた。私はまっすぐと見つめ返していると、視線から逃げる様にほたるちゃんは顔を俯けた。
「だ、だって」
小さく、それでも想いを伝えようとする声。
「だって、いつまでも茄子さんに頼ってられないから。とっても嬉しいです。茄子さんからそんなこと言われて。私もずっと一緒にいたいですけど、
だけど。やっぱり、自分で立たなきゃダメなんです。茄子さんに甘えてばかりじゃいけないから。だから」
ほたるちゃんは顔を上げた。まっすぐと、いつものような下がり眉で、力強い瞳で、私を射抜く。
「だから私、ここを出なきゃいけないんです」
ああ。そうか。この子にはなにも伝わっていない。
ずっと頼ってていいのだ。
甘えてていいのに。
ああ、手放したくない。
手放したくない。
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