42:名無しNIPPER
2018/04/24(火) 21:47:39.72 ID:25rQ95o00
「あの、茄子さん?」
「ほたるちゃん、私たちって、ぴったしだと思いません? ほたるちゃんはちょっぴり不幸で、私はちょっぴり幸運。二人でいると、運命って天秤が、バランスよくなると思うんです」
「よっと」と声を出しながら私は飲み終わったコップの角を人差し指の腹に乗せると、支えていた他の指を離した。
ほたるちゃんは小さく声を上げたけど、コップは私の人差し指の先で、バランスを崩すことなく立っていた。
かくし芸で鍛えた力だ。
「きっと、凄く丁度いいと思うんですよ。ほたるちゃんも、それを感じてませんか?」
「それは……」
「それなのに、わざわざ離れる理由って、あるんですかね」
私は笑みを浮かべ、小首を傾げながらほたるちゃんを見やった。ほたるちゃんの小さな瞳は、静かに揺れていた。
もうひと押しか。
「だから――」
「あるんです!」
大きな声に、私は面食らってしまった。
「あっ」
気が緩んで、指先からコップが滑り落ちる。
ガラスの割れる音が、部屋中に響いた。
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