28:名無しNIPPER
2018/04/24(火) 21:29:03.70 ID:25rQ95o00
食器を白いフキンで拭いながら、私はほたるちゃんが膝の上に広げていた新聞を覗き込む。
「ほら、ここ」
嬉々として指さした番号と、ほたるちゃんの掲げた数字を見比べる。
なるほど、確かに当たりくじだ。
そのあとも確認したところ、百円も三枚当たっていた。
損であった。五千円分買っていたのだから合計してもその額には届かない。
以前の私なら、ありえないこと。
ほたるちゃんは、当たったということにとても喜んでいた。
私は、プラスにならないということに小さな喜びを感じていた。
「……あのですね、茄子さん」
喜びから一転、ほたるちゃんは静かに新聞を膝に置き、大事そうに両手で当たった券を持った。
「どうしました? あ、そのお金でなにか食べたいものでも。お仕事の後にでも」
「いえ、そのことなんですけど……」
少し様子が変だ。どうしたのだろうか。私はほたるちゃんの言葉を待った。
「そろそろ、一人でも大丈夫です」
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