14:名無しNIPPER
2018/04/24(火) 20:55:56.67 ID:25rQ95o00
「あら、あれのせいですかね?」
と、私は柱に張られてあったチラシを指さした。そこには大特価の文字と共に、鯛の写真が載っていた。
「特価品分しか仕入れてなかったみたいですね」
そしておそらく、それはすでに売り切れてしまったようだ。もういい時間だ。売り場に目を向けると、特価というポップの踊る広い空白スペースがあった。
「あ、そうですか」
とたんにしゅんとなるほたるちゃん。
「やっぱりついてないですね……」
「でも待ってください。確か」
私は魚売り場のある棚へ戻る。そこにはパックされた沢山のエビ。
残りわずかになった山から一つを取って、顔の横に持ち上げてほたるちゃんに見せた。
「ほら、これも特価品ですよ」
チラシで鯛の隣に掲載されていた商品だった。この二つが目玉だったようで、大々的に乗っていた。
「鯛は手に入らなかったですけど、こっちのエビが手に入ったなら、ついてない訳じゃないですよ。それに言うじゃないですか。エビも縁起物だって」
「茄子さん……じゃあ、エビにしましょうか」
ほたるちゃんの表情が和らいだ。私は茄子だけだった籠にエビのパックを入れた。
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