13:名無しNIPPER
2018/04/24(火) 20:54:36.92 ID:25rQ95o00
ほたるちゃんが料理を作る時、食材には決まってナスビがあった。
ゲン担ぎということだ。
私の名前と同じ漢字の野菜だからというより、縁起がいいから。
「今日はなにを作るんですか?」
「どうしましょう。マーボーナスは……前に作ったし。茄子の炒め物も」
「なら、茄子はおひたしにして、お魚を焼くのはどうでしょう?」
「お魚、いいかもしれませんね。鯛とか縁起がいいですし」
「お魚でも縁起なの?」
「縁起、大事ですから」
その顔にはふざけた様子はなくて、茄子を睨んでいたのと同じくらいの真剣さがあった。
茄子を選ぶのも、ほたるちゃんには大事なこと。
私と一緒に住むようになってから、縁起を気にする傾向が強くなったようだ。
やっと選んだ茄子を籠に入れて、私たちは魚売り場にむかった。
「たい、たい、たい、たい……」
ほたるちゃんは並んでいる魚や切り身を一つ一つ指さしながら鯛を探すが、売り場には並んでいなかった。
前見たときはあったのに、珍しいこともある。
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