11: ◆E055cIpaPs
2018/04/21(土) 23:27:24.06 ID:0nbIURfu0
この写真を撮影してアップするだけできっと、人気アカウントへの仲間入りなんて優にかなうと思うのだけれども、ありすはそれを良しとはしないのだろう。
「プロデューサーさん、遊んでないでこっちで一緒に考えてください」
ここで素直に僕を頼れるようになったのは、彼女の一つの成長の形だろう。
一人で考えないと意味がないのではないかとも思わないでもないが、あちらだって二人がかりなのだ。
構図としては丁度いいのかもしれない。
「美嘉さんのインタスグラムは、みくさんのに比べると全身が写っている写真が多いんです。逆に加蓮さんのはアップの写真が多くて」
「きっと、そこに理由があるんだと思うんですけど」と悔しそうに溢す彼女だが、そこまで気付くことができればほとんど答えに辿り着いているようなものだ。
「城ヶ崎のアカウントとは違って、北条のアカウントは動画があがってるのか」
「そうなんです。加蓮さんは趣味のネイルアートの作り方の動画を上げているんです」
「へぇ。じゃあそれが答えなんじゃないの?」
そう僕が答えると、どうやらいい加減な気持ちで話を聞いていると思われてしまったようで、ジトッとした目でありすに睨まれてしまった。
「そんなわけないじゃないですか、絶対に他にも理由があるはずです」
きっと呆れられてしまったのだろう。
ありすは口を閉じて必死にスマホの画面とのにらめっこを再開してしまった。
言葉選びを間違ってしまったのかもしれない。
このままでは彼女も答えに辿り着けず、僕の評価も下がったままになってしまうので、彼女にもう一つヒントを与えてみることにした。
「ところで北条、この写真と全く同じポーズしてるぞ」
「そんないじわる言わないでよプロデューサー、このポーズお気に入りなんだから」
ほら、ネイルアートが良く見えるでしょ、といって改めてポーズを決めた加蓮は画面の中に収まっている時とは比べ物にならないぐらいに魅力的で、きっと、今日の服装に合わせてきたのであろうネイルアートは彼女をより一層にキラキラと彩っていた。
つまりは、こういうことだ。
彼女たちのインタスグラムには、彼女たち自身のファンだけでは無くて、彼女たちの服装を参考にしたい人達や、流行のカフェや小物など、流行の最先端を自分の生活に取り入れたい、彼女たちの同世代の女の子に支えられていた。
ありすはその答えに辿り着くことが出来なかった。
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