【モバマス】家出娘のお話
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5:名無しNIPPER[sage]
2018/04/20(金) 00:00:32.83 ID:lmgKjGix0
プロデューサーさんが帰ってくるまでの間、ちひろさんの勧めもあって東京を散策してみることになった。街を歩けばこのプロダクションのアイドルの活動が見られるだろうとのことだ。

ビルの看板で化粧品とかの宣伝をしているのもこのプロダクションのアイドルらしい。言われてみれば実家にいる時に見たことがあったかもしれない。

アイドルだけじゃない、東京という街は京都とはまた違った意味で色んな人がいて新鮮な感じがする。

小さなライブハウスらしき建物に入っていく人もいれば、路上でギターを手にライブしている人もいる。同じ音楽活動でも全然違う。

人種も様々だ。浅黒い肌色に綺麗な眼をした明らかに日本語じゃない言葉を話してる女の子もいれば、肌の色が私より遥かに白い人もいる。

京都でも観光客として色んな国の人がいたけどもここはもっともっと多種多様な人がいるような感じがする。

そんな中一人どこへも向かわずただ立っていると私はこの中で取り残されたように感じていく。

父親に言われた言葉についムキになって反論して家を飛び出したけども、実際自分でもわかっていたのだ。

とはいえ何かやりたいことも見つからないままこのまま実家の和菓子を売り続ける人生なのかなあと思っていただけに、

結局のところアイドルになったとしてもこのまま空虚な感じで消えていっちゃうのかな。

なあんて、柄にもなくセンチメンタルな気持ちになっていても何も変わらない訳で。

とりあえずホテルにでも戻ろうかなって駅に戻ろうとした時、ふと路地の方で何やらおかしい様子の少女が目に入る。

何だろう、観光客って感じでもないような恰好をしているのに歩きなれてない気配と言うか、違和感を覚える。

何か思いつめているような様子にも見えなくはないし、それでいて何かを探しているようにも見えなくはないと言うか。

ちょっぴり興味を引かれた私はその少女をしばらく観察してみることにする。どうせ時間はあるんだ、問題はないでしょ。

しばらく観察しているとどうやら少女はあまりお金がない様子だ。しきりに財布を眺めては何かを計算するようなしぐさをしている。

それからどうもスマホなどの類は持ち歩いてないようだ。時折公園にある時計を見ては時間を確かめている。

何で、興味を持ってしまったんだろう。自分でもわからないがついつい観察してしまう。

ふと、そんな少女が見るからにちゃらそうなナンパ男に捕まってしまったのがこの状況を変える切欠だった。

明らかに困っているのはわかるがどうも対処の仕方がわからないのか逃げ出せない感じとでも言うべきか。

そんなのを見てると助けたくなるってタイプでは

「柄でもないと思うんだけどなー」

と言いながら私は少女と知り合いを装う感じで

「お待たせ、ごめんな、お兄さん。この子私と約束があるんだーじゃあねー」

といきなり見ず知らずの私に腕を引っ張られて連れて行かれている少女共々きょとんとした感じで呆けてる男から離れる。

「え、ちょ、あの、え?」

「いいから、このままここを離れるまで付き合って」

と小さな声で伝えると少女も理解したのかそのまま私に合わせて歩き出してくれる。とりあえず近くの喫茶店にでも入っておこう。



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