82: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/20(金) 21:46:15.89 ID:NMaauvKO0
「かえっ」
俺の言葉よりも、早かったろうか。
椅子についていた右手を、パッと上から被せるように押さえて、睫毛の節がわかるくらい近く、クイッ、と、楓さんが顔を寄せた。
「……っ」
クラっとするような、良い香り。
真剣な目が、僕を見つめてくる。
目をそらすことも、ごまかすことも許さない。そう言っていた。
「……その」
「プロデューサー、私、あなたに嘘ついたこと、ありません」
「いっ、いま狸寝入りしてたじゃ」
「それは、あなたが勝手に勘違いしただけです。ずっとあなたの言葉を聞いてました。」
「んなっ……」
「私、嘘ついたこと、ありませんよ」
じっ……と見つめられる。
なぜか、ラグドールを思い出した。
小さな顔に、こぼれ落ちそうなほど大きな、きらきらの瞳。
「……ええい、貴女に逢えて、良かったなぁって思ってたんです」
もう照れ臭いので、勢いで言ってしまおう。
そう思ったら、少し声が荒くなってしまった。
「だから……ありがとう、って思ってます。まあ……幸せ……です……」
すぼみながら、どうにか最後まで言い切った。
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