高垣楓「君の名は!」P「はい?」
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83: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/20(金) 21:48:50.51 ID:NMaauvKO0

「続きは?」
「!? つ、続きはって」
「そこまで想って下さるなら、その先があるはずです。私に逢えて、幸せで、それで、あなたはどうしたいんです?」

重ねられた手が、きゅっと結ばれた。
楓さんのひんやりした手が、少し汗ばんでる。

「プロデューサー」
「は、はい」
「唇。ごはんつぶ付いてます」
「えっ……」

魅惑のつまった唇が、震えるのが見えた。
左手には、ペットボトルを握っていたから。
僕に逃げ場はない。
あっ、と思ったとき、時間が、音が、一瞬止まった。

『――――次は、終点、和歌山です。大変長らく、お疲れ様でございました。ご乗車の皆様は、お忘れもののなきよう……』

「……ん、やっと着きましたね、プロデューサー。長旅で体もガチガチになっちゃいましたし……温泉でスパッとコリをほぐしましょうか♪」

再び、焦点の合った楓さんの駄洒落が耳に入ってきたとき、ようやく僕は、自分の息が止まっていたのに気づいた。
右手の熱がふっと離れて、楓さんがいそいそと手櫛で髪を直す。
僕の手は、自然と自らの唇に触れていた。

「………べーっ……♪」

酒なんか、きっととっくに抜けてる楓さんの頬が、ほんのり紅い。
我知らぬ顔で荷物を整理しながら、チラリと、恐らく誰も見たことの無いようないたずらっ子の顔で、ちろっと舌を出して、はにかんだ。

「……嘘つきめぇ……」

口許を隠しながら、絞り出すように僕は言うしかなかった。

唇にご飯粒なんて、ついてるわきゃあない。
楓さんが作って来てくれたお弁当は、サンドイッチだったから。


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