78: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/20(金) 21:28:01.23 ID:NMaauvKO0
「わしに、生きろてか。このたわけが」
包帯に新たな血が滲む。しかし左目は瞬きすらせず、炯炯と光る両眼を見据えていた。
「貴様ごときが、いっぱしの口を聞いて隊の方針を意見し、あまつさえ死に場所さえ、このわしに指図しようと言うのかね?」
荒々しい所作とうらはらに、声には全く苛立ちの類いが込められていない。それが、逆に余人を恐れさせたのだ。
まったく色を出さぬままに相手を斬り捨てる、神速の居合いを得意としたその男の剣風そのものであった。
「図に乗るなよ、小僧」
痩せた狼を思わす細身に、鬼が宿る。
修羅をも屠る鬼人の怒気だ。
「去ねや、百姓。この期に及んでこれ以上、犬も食わぬ同情か仏心でものを言うておるのなら――――」
斬る、と。斬るのきの字が出かかったその時。
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