【デレマス】デレP「宝石になった日」
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8: ◆ANRdHn0Tts[saga]
2018/04/17(火) 08:24:26.83 ID:3cTkaN/s0
 外ではお酒が飲めないから、という理由で、会う場所はあっさりと僕の自宅に決まった。今日もアニメの収録があるのだという姉さんを、最寄り駅前のロータリーで待つ。
 最後に会ったのは、確かいとこの結婚式だっただろうか。「菜々ちゃんは今をしているの?」という親戚からの質問に、父さんが答えに窮していたのが印象に残っている。
 あの時姉さんは、なんと答えたのだったか。少なくとも、アイドル志望とかではなかった。なにか取り繕った嘘をついて、少し寂しそうに笑っていたはずだ。
 後ろめたさからくるのだろう、姉さんが嘘をつくときの癖。両親に怒られる僕を庇う時も、先輩に他に好きな人がいると言った時も、姉さんは同じように曖昧な笑みを浮かべていた。それが痛々しく思えて、僕は嘘をつくまいと思いながら成長していった。
 嘘をつくのが下手だった姉さん。それでも、ウサミン星人、なんてわかりやすい嘘を公言してテレビに出ている辺り、嘘をごまかすのは多少うまくなったのかもしれない。
 ふと、携帯が震える。到着したという知らせを受けて改札の方を見ると、サラリーマンや学生たちが群れを成して階段を降りているのが見えた。
 目印になる看板の情報を返信すると、小さな人影がその人混みの中から外れてこちらに向かってくる。

「あ、いたいた」

 テレビで見ている時も思っていたけれど、手を振ってこちらに駆け寄る姉さんの姿は、本当に十七歳の頃のままみたいだった。

「……久しぶり、姉さん」

「久しぶり……大きくなったねえ」

「姉さんが小さいままなんだよ」

 そもそも、成長期なんてとっくの昔に終わっている。「これでも成長したんですよぉ!」と頬を膨らませる姿が、なんだか懐かしい。

「じゃあ、立ち話もなんだし」


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