7: ◆ANRdHn0Tts[saga]
2018/04/17(火) 08:23:29.20 ID:3cTkaN/s0
姉さんのことを、嫌っていたわけではない。ただ、少しずつ疎遠になっていってしまっただけ。
お互いに進学し社会人になると、忙しくなったこともあり頻繁に連絡を取り合うこともなくなっていった。両親に連絡を取る時に、姉さんの近況を母さんから聞かされるくらい……「夢に向かって頑張ってるらしいわよ」と。
姉の夢。幼い頃からずっと変わっていない……アイドルになること。
母さんはずっと応援し、小まめに連絡をしていたというけれど、心配していただろうことは想像に難くない。僕にだって孫の話が飛んでくるのだから、姉さんのところにだって見合い話の一つや二つは持っていっているはずだ。
僕も、おそらく父さんも。きっと適当なところで諦めがついて、就職なり結婚なりをするのだろうと想像していた。壁にぶち当たって限界に気づくのは、時間の問題だろう、と。
だから、姉さんが想像を超えた時……本当にアイドルとしてデビューしたという話を聞かされた時は、とても驚いたのを覚えている。
デビューおめでとう、とメールは送ったし、デビューシングルも買ったけれど。この半年ほど、姉さんと会うことがなかったのは……十七歳のままアイドルになってしまった姉と、どんな会話をすればいいのか分からなかった、というのが大きい。
十七歳のまま、年を取らなくなってしまった姉。時の止まった世界に暮らす姉さんとは、なんとなく……住む世界が違ってしまったような気がしていたのだ。
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