12: ◆ANRdHn0Tts[saga]
2018/04/17(火) 08:27:56.79 ID:3cTkaN/s0
振り返った姉さんは、月明りの中で、その逆光の中でもはっきりとわかるほどに。
「……楽しいよぉ。だって、夢が叶ってるんだもん」
いつかの日に見たように、幸せそうな満面の笑みを浮かべた。
嘘をつくのが苦手な姉さんの。
だからそれはきっと、本心からの言葉だった。
そんな姉さんの姿を見て……なんだか僕は、胸のつかえがとれたような気がした。
そう、一人で気にしていただけだったんだ。
姉さんは、変わらない。ずっとあの頃のまま、それでもちゃんと、僕の姉さんのままだった。
改札の向こうで手を振る姉さんに、エールを込めて僕も手を振り返して。
一人でアパートに戻る道を、僕は姉さんの曲を口ずさみながら帰っていった。
ミミミン、ミミミン、ウーサミン。
そのフレーズはまるで姉さんが、僕の背中を押してくれているみたいだった。
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