9: ◆.s5ziYqd8k
2018/04/16(月) 22:08:06.00 ID:xaEfnyHJ0
白いワンピースに青色が重なっているのに、それを着る私は雨雲のように暗い。
目の前でやよいとガイドさんは楽しそうに話している。私は、暗い。
「そりゃ振られるよぉ、女心ってのが分かってないね。唐変木、朴念仁、ゲスの極み。お? あれなに?」
ガイドさんがさりげなく私に道を譲って説明してくれる。街の歴史、地図。
「はぁー。それじゃあ私達には霊子は使えないのかぁ。お兄さんは使えるの? 使えない? ダメだねえ」
「やよい……そんな言い方、ダメだよ」
「いやいや。その点ユミカは凄いよぉ、弓道全国区だからねぇ。弓引く姿は超美人、大和なでしこさんだ」
ガイドさんは私を褒めてくれる。
胸が高鳴るわけじゃない。
嬉しいことは嬉しいけれど、特別な嬉しさじゃない。
ガイドさんはかっこいいけれど。
前髪の隙間から見える柔らかい笑顔が、とても眩しくて、なぜか熱いものの気がした。
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