10: ◆.s5ziYqd8k
2018/04/16(月) 22:10:10.41 ID:xaEfnyHJ0
一階上がるごとに観光客は少なくなって、厳かな静けさが増えていく。
「なぁーんだかなぁーんも無いんだね。パネル展示とかさ、もうちょい増やした方がいいと思うなぁ」
やよいは口ではそう言いながら、興味深そうに目を細めながら走り回っている。
どうかとは思うけれど人も少ないし、ガイドさんも困った様子が無いからいいのかな。どたばたしてる訳じゃないから、いいのかな。
もう20階は超えているはず。それなのに部屋は変わり映えがなくて、ふとどこかのお城を昇った時の事を思い出す。
「あの……これ、降りる時は階段ですか? 降りてくる人がいないみたいですが」
「そういやそうだねぇ、いやこれはアレだね、パラシュートか滑り台と見た」
窓の外では風が吹く。たなびくのは、青い影。
悪戯っぽく笑うガイドさんは、降りたくなったら言ってください、と得意げに手を振った。
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