42: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:29:46.06 ID:wXMMdwi10
『既に投票されています』
アイドル名を検索しようとしたあたしに、赤字のエラーメッセージが待ったをかけた。
43: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:30:16.27 ID:wXMMdwi10
ぴたりと携帯をスクロールする指が止まった。
着飾ったあたしが画面の中で、この間収録したお礼の言葉を述べている。
44: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:30:44.19 ID:wXMMdwi10
獲物を見つけた猫のように、ぱっと顔を上げる。
プロデューサーさんは、また先ほどまでのように手元のパソコンに顔を向けていた。
その表情は、横顔しか見えないせいかよく分からなかった。
45: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:31:13.70 ID:wXMMdwi10
「も、もー! なによプロデューサーさん。忍ちゃんでも穂乃香ちゃんでもないやん、この投票券! ま、間違ってんじゃないの投票先!」
「うるせ。うるっせえ。あー可愛いなあ! フリルドスクエアはかっわいいなあー!」
46: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:31:59.16 ID:wXMMdwi10
2人して、指まで指して大声で笑う。
机や棚に反響して、あたしたちの声が室内を思い切り飛び回っている。
しばらくそうしていたけれど、特に示し合わせておいたわけでもないのに、あたしとプロデューサーさんはぴたりと同時に笑うのをやめた。
47: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:32:40.55 ID:wXMMdwi10
沈黙に耐えきれなくなったのは、あたしでもプロデューサーさんでもなく、電気ポットだった。
隣の部屋でぴろぴろぴろと湯が沸いたことを知らせる電子音が鳴り響き、あたしの肩はびくりと震える。
48: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:33:07.59 ID:wXMMdwi10
「頑張れないときは頑張らなくていい。周子は自分らしく、周子らしくあり続けてくれたらいい。俺は頑張ってる周子も、そうでない周子も好きだ」
49: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:33:38.01 ID:wXMMdwi10
「……っっ!」
なにそれ。
50: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:34:28.19 ID:wXMMdwi10
「あたし……頑張るわ」
もう1度シンデレラのドレスを着たい。
51: ◆vOwUmN9Rng[saga]
2018/04/16(月) 00:34:55.50 ID:wXMMdwi10
非難するように頬を膨らませたあたしを見て、プロデューサーさんは仕方なさそうに笑う。
けれど、まあ。
たまになら、身体に悪い中華とやらも、いいんじゃないですかね。
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