23:名無しNIPPER[saga]
2018/04/15(日) 15:55:53.11 ID:ah/HvYxA0
「では、ご馳走様でした」
それを言うなら頂きますじゃねぇか?
足元の覚束ない兄ちゃんを脇から抱きかかえるようにして、姉ちゃんが雪の中へ踏み出していく。
二つの背中を黙って見送ろうとして、やめた。
「おーい。なぁ、姉ちゃん」
「はい、何ですかー?」
この道は街灯も少なく、もう姉ちゃんの顔は見えない。
細長いシルエットに向けて、持ったままだった色紙を振って見せた。
「これ、どういう意味だ?」
「そのままの意味ですよー……それでは、また」
駅前に向かう影が見えなくなって、俺はゆっくりと後ろを振り向いた。
のっぺらぼうの赤提灯をぶら提げた、小さな俺の城が静かに佇んでいる。
「……」
暖簾を外し、俺は後始末に取り掛かった。
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