高垣楓「おでん」
1- 20
23:名無しNIPPER[saga]
2018/04/15(日) 15:55:53.11 ID:ah/HvYxA0


 「では、ご馳走様でした」


それを言うなら頂きますじゃねぇか?


足元の覚束ない兄ちゃんを脇から抱きかかえるようにして、姉ちゃんが雪の中へ踏み出していく。
二つの背中を黙って見送ろうとして、やめた。

 「おーい。なぁ、姉ちゃん」
 「はい、何ですかー?」

この道は街灯も少なく、もう姉ちゃんの顔は見えない。
細長いシルエットに向けて、持ったままだった色紙を振って見せた。

 「これ、どういう意味だ?」
 「そのままの意味ですよー……それでは、また」

駅前に向かう影が見えなくなって、俺はゆっくりと後ろを振り向いた。
のっぺらぼうの赤提灯をぶら提げた、小さな俺の城が静かに佇んでいる。

 「……」


暖簾を外し、俺は後始末に取り掛かった。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
36Res/26.85 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice