高垣楓「おでん」
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21:名無しNIPPER[saga]
2018/04/15(日) 15:30:01.58 ID:ah/HvYxA0

 「そうか」
 「はい」
 「ありがとよ。店じまいだ」
 「はい……あ、そういえばお幾らでしょう」
 「ん? あー、八海山一本とつみれが……」

指折り数えようとして、止めた。雪のせいで手がかじかみやがる。

 「面倒だ。五千」
 「丼勘定ですね」
 「丼屋も悪くねぇかなと思ってる」

二人して爆笑した。酒の力ってのはつくづく偉大だ。

 「では、せめてものお礼に」

姉ちゃんが手を叩き、兄ちゃんの鞄を漁り始めた。
何だ何だと思っている内にペンが、続けて色紙が出てくる。

 「どうぞ。そのうち価値が出ますよー、きっと」

あっという間に完成したサイン色紙を手渡される。
極太に刻まれた 『オススメ!』の文字の横によく分からないコメントまで添えられていた。


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