高垣楓「おでん」
1- 20
20:名無しNIPPER[saga]
2018/04/15(日) 15:22:40.97 ID:ah/HvYxA0

 「酒をかっ喰らって、良い男を振り回して、安酒屋の売れ残りを誑かすようなのばっかりか」
 「……ふふ、大丈夫ですよ。残り物には福があるって、確かな情報筋から仕入れました」
 「そりゃ良い事を聞いちまった。で?」
 「そうですね……」

姉ちゃんが脇で沈んだままの兄ちゃんを見た。
茹だったタコみてぇに赤い額が覗いて、アルコール退散だの何だのとぶつぶつ呟いてやがる。
雪の上にでも放り出してやりゃあ目も覚めるだろう。

 「アイドルも人間ですから。たまにはお酒を飲んだり、人を好きになったりもします」
 「どれくらい飲むんだ?」
 「週五くらいでしょうか」
 「コイツは?」
 「ずっと」
 「ったく、やってられっか。姉ちゃん俺にも寄越せ」

受け取った瓶を口の上で逆さにする。
すっかり温くなった中身を胃袋に流し込んで、
姉ちゃんにも聞こえるよう大きく大きく溜息を吐いてやった。

 「なぁ、アイドルなら、何つったか……そうだ、食レポとかいうのもやるんだろう」
 「よくご存じで」
 「ここはどうだ?」
 「普通ですね」

けろりと言ってのけやがった。


 「ただ、もっと賑わっても不思議じゃないと思いますよ。良いお店です」



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
36Res/26.85 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice