21: ◆66FsS2TZ4lNJ[saga]
2018/04/09(月) 10:43:13.75 ID:amKha4Y/0
まゆ「わかりましたか?」
不意に近づけられた顔にドキリとする。楽しそうに笑うまゆ。当時の幼さはなりを潜め、大人びた妖艶さを醸し出す。
P「もしかして……」
思わず小声になってしまう。心臓は急速に脈打ち、喉が渇く。これは…緊張しているのか? 俺が?
ただの確認のはず。だが、緊張するってことは…そういうことなのか?
落ち着け、何で元担当相手に固くなんなきゃいけないんだ。しかも十近く離れた小娘に…っ。
視界いっぱいに広がる彼女を見れば、小娘なんて呼べないことは知っている。あれからよく成長したものだ。かつては一世を風靡したアイドルに言う言葉ではないかもしれんが。
もういいか。緊張なんてキャラじゃない。仮に間違っていても、恥をかくのは俺だけだ。ならいっそ、盛大にいってみよう。
P「まゆ」
まゆ「わっ!?」
両肩を掴み、目を合わせる。一度は悲痛に、一度は感動に、一度は別れに涙したたれ目が、驚きに見開かれている。かつては馬鹿にしたものに恐れを抱くなど笑える。でも、これは素晴らしいことなんだろう。悪い気分じゃない、むしろ良い。
まゆ「えっと……」
自分が漫画のキャラか何かになった気分だ。どこか縁遠い物と思い込んではいたが、身近にあるもんだな。それに気づかせてくれたのは、紛れもなくまゆだ。ありがとう。
P「好きだ、結婚してくれ」
口をついて出た言葉は俺の本心に相違ない。今まで、何度もまゆには本心を伝えてきた。なのにこれが恋愛か。理解はしても動悸はおさまらない。なあ、あの時のお前もこんな感じだったのか? 俺にはわからない。
酷いやつだったな、俺は。ガキだったのはやっぱり俺の方だ。
俺の勘違いでも良い。あんなことやってむしが良すぎるかもしれんが、お前の気持ちが聞きたい。さぁまゆ、お前の本心を教えてくれ。
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