P「まゆ、お前は俺のために死ねるか?」
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13: ◆66FsS2TZ4lNJ[saga]
2018/04/09(月) 10:39:41.10 ID:amKha4Y/0
〜〜

P「……なんて?」

 丸1日休んだ後だった。若干腫れの残る瞼を見れば、泣きはらしただろう類推はできるが、何をもってその結論に至ったのか、皆目見当もつかない。

まゆ「だから、まゆはセルフプロデュースを始めようと思います」

 自分の担当を離れるだろうとは考えていた。だがまさか、自分で自分のプロデュースを始めるだなんてまったく思っていなかった。

P「……俺に外れて欲しかったらそう言えばいいぞ。別に気に……はするが、替えるよう手配する。俺に言いにくければちひろさんに言えばいい」

まゆ「昨日一日考えた結果です」

P「遊びで務まるもんじゃねえぞ」

まゆ「わかっています。やるからには全力で。まゆは自分だけの力でシンデレラガールになってみせます」

 まゆの目は本気だ。本気でセルフプロデュースして、本気でてっぺん取るつもりだ。だからこそわからない。何故アイドルだけでなく、プロデュース業務までやろうとする?

まゆ「やってみたいから…じゃだめですか?」

P「! わかった。じゃあそのようにちひろさんに言っておく。ただ初めから一人ではできないから

まゆ「だからPさん。まゆにプロデュース、教えてくれます?」

P「……俺は何されようと靡かないぞ」

まゆ「ふふ、違いますよぉ。Pさんはシンデレラガールを排出したプロデューサーだからですよ。その手腕であれば、ご教授いただくのにこれほどの人材はありません」

 確かに筋は通ってるな。

まゆ「それに、今までのまゆを一新するつもりでもありません。Pさんの推していた部分も勿論取り入れていきます。だからこそ、Pさんが適任なんです」

 ……なるほど。理に適っている。それに、警戒する必要もないだろうしな。まさか、俺がまゆに手込めにされる道理もないだろう。そもそも、あれだけ手酷く振られたら、好きでいられるはずもないか。だが。

P「引き受けたと言いたいところだが、ちひろさんと一悶着あってな。俺がお前を教えられるかは怪しいところだ」

まゆ「だったら説得してきます。まゆが言えば流石に聞いてくれるでしょうし」

P「どうだろうなあ。一時は俺とまゆを二度と合わせないとまで言い張ったからな、あはは」

 笑えないけど。千川にかかれば、どんな人でも直ちに地方左遷だ。あの夜は俺も余裕無かったからな…悔やんでも仕方ないか。

まゆ「大丈夫ですよぉ、まゆが言って聞かせますから」

 千川はアイドルにすこぶる優しい。それでも、彼女の怒りはおさまらないかもしれない。昨日も謝り倒したが、一向に許してくれなかったしな。

P「まゆ」

まゆ「はい?」

P「…えーと、まあなんだ。……一昨日は悪かったな」

 腫れの残る瞼をめいっぱいに見開き、三回ほど瞬きを繰り返す。その後、思いっきり吹き出してしまった。

まゆ「うふふ、ごめんなさい。Pさんもよっぽどちひろさんの小言が堪えたんですね」

P「茶化すなよ。あれは言い過ぎた。我ながらガキっぽい」

 どうやらまゆの失笑を買ってしまったみたいで、思わず苦笑いしてしまう。年の離れた女の子に謝るなんて情けない。だが悪かったのは俺だ。

まゆ「いえ、まゆは気にしていませんよ。それに、非常識なことを言い出したのは、子供だったのはまゆの方ですから」

 気にしていないって…本人が言っているなら深く聞くこともないか。



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